現代の万葉集(挽歌)
これ、1400年前ならきっと万葉集にもとりあげられただろう・・
北アルプスがあかね色にそまるまで | ||
ハライソへ駆け上った妻の命日にはいつも 丘の中腹にある五輪塔のお墓まで やせ馬ならぬハーレダビッドソンで疾走する 銀色のヘルメット、ワイン色のブルゾンにジーパン いなせなつもりのサングラス まさか、よれよれのジジイとは誰も思うまい。 |
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北アププスの尾根があかね色に染まるまで 物言わぬ妻と語らおう かれんなコスモスが揺れ、一陣の風とともに 妻の面影がありありと目にうつり 「いつまでも達者でね」 との優しい声が耳たぶをくすぐる やがて、後ろ髪(もうないが)を引かれる思いで 誰もいない家路につく |
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玄関をあけ、シャワーを浴び、 湯上りに缶ビールを一気に飲んでほっとする これが、老いさらばえたがまだまだ元気なオレの 唯一の生きがいだ |
読売新聞投稿作品より
どんな人生だったのだろうか。
銀色のヘルメットにサングラスのじじいがハーレダビッドソン。
ハーレダビッドソンにまたがっているのがこんなじいさんだと知ったなら
ハチロクで追い抜く時は思わず「長生きしろよじいさん」と言ってしまうかも。
今日はおじさんも、ひとりでじいさんの人生に乾杯