パソコン活用研究万葉の里(お笑い文学、万葉集)

古今集でもいいじゃない (平安のプレイボーイ在原業平)

万葉集に比べると、古今集はだいぶ言葉の技巧に走りがちで、ストレートで大胆なそしてほとばしるような感情表現にはあまりお目にかかれませんが、たまには、古今集にも情熱あふれる歌があるんですね。

平安のプレイボーイ在原業平の歌から

恋の歌

月やあらぬ春やむかしの春ならぬ我が身ひとつはもとの身にして(古今747)



【通釈】
(通釈するとものすごくつまらなくなってしまうけれども、・・・)
自分は昔ながらの自分であるのに、(月や春の景色が違って見える)。しかし、こうして眺めている月や春の景色が昔のままでないことなど、あり得ようか。昔と同じ晴れ晴れとした月の光であり、梅の咲き誇る春景色であるはずなのに、これほど違って見えるということは、もう自分の境遇がすっかり昔とは違ってしまったということなのだ。

【独断と偏見】
凡人なら、月も春の景色も去年と同じなのに、僕だけが変わってしまった、とか陳腐な感傷的な表現になっち
まうところを、”僕は昔ながらの僕なのに”というあたり大胆かつうますぎる。

藤原高子にたいする歌といわれている。高子が清和天皇に入内して、関係が絶たれたということ。

【語釈】◇月やあらぬ 「月や昔の月ならぬ」の略。月は昔の月でないことがあろうか。「や」は反語・疑問両説あるが、ここでは反語にとった。◇我が身ひとつは… 下句は上句と倒置の関係にある。

●秋の歌

ちはやぶる神世もきかず竜田河唐紅に水くくるとは(古今294)

これは竜田川ではないです

【通釈】
神代の大昔にも、こんなことがあったとは聞いていない。竜田川の水を美しい紅色に括り染めするとは。

【独断と偏見】
竜田川て斑鳩の里を流れる川です。何度か行ったことがありますが、ここが紅葉して川面が紅にそまる
光景は絶景でしょう。
例の高子に召されて作った歌。
秋にみてみたい景色No.1

【語釈】◇ちはやぶる 「神」にかかる枕詞。◇水くくる 水を括(くく)り染めにする。


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