パソコン活用研究万葉の里(お笑い文学、万葉集)

兄弟の秘密の会話




兄がもう長いこと廊下に立たされている。
「ごめんなさい。もう二度としません。」がどうしても言えないらしい。

弟たちは奥の部屋で勝手に遊んでいたが、
あまりに長い時間が経ったので、
母親の目を盗んで、次男が心配そうに兄のところにやって来た。

そしてひそひそ声でそっと耳打ちした。
「はやく、もう二度としませんって、あやまりなよ。
 神様も早く謝ったほうがきっと喜ぶよ。」

兄が弟をふざけるなという顔で見返しながら
小声で言った。
「そんなこと言えるか。もう二度としないなんて約束できるか。
約束破ったら、神様はすごくこわいんだぞ。」

弟は困ったように兄を見上げていた。

二人の秘密の会話が聞こえてきた。
おおらかでストレートな(でもちゃっかりしている)次男と、くそまじめに考えすぎる長男の
典型的な兄弟の会話が聞こえてきた。

三男は自分の世界で遊んでいた。

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