パソコン活用研究万葉の里(お笑い文学、万葉集)



たび。そう、たび。
村上 春樹氏がたびについてこんなことを書いていた。
ぼくがつまらないことを語るよりも、そのまま抜粋した方がよさそうなので、
そのまま引用します。

そこには何かしら、僕のこころをしんとさせるものがあった。その風景はぼくに何かを思い出させようと
しているみたいに感じられた。

たぶんそれがぼくらの中にある「使い道のない風景」の意味なのだと思う。
それ自体には使いみちはないかもしれない。でもその風景は別の何かの風景に −− おそらく我々の
精神の奥底にじっと潜んでいる風景に −−結びついているのだ。
そしてその結果、それらの風景はぼくらの意識を押し広げ、拡大する。僕らの意識の深いところにあるものを
目覚めさせ、ゆり動かそうとする。
だからこそある種の風景は、たとえ現実的に役にたたないとしても、我々の意識にしっかりとしがみついて
離れないのだ。

旅行というものは元来疲れるものだ。

やれやれ、それでもあなたは旅に出る。それでもぼくも旅に出る。何のために。
たぶんぼくらはそこに自分のための風景を見つけようとしているのだ。
そしてそれは、そこでしか見ることのできない風景なのだ。

写真はそこにあったそのままのものを写し取っているはずなのに、そこからは何か大事なものが
決定的に失われている。
でも、それもまた悪くない。

ぼくは思うのだけれど、人生においてもっともすばらしいものは、過ぎ去って、もう二度と戻ってくる
ことのないもの
なのだから。


後書き
実はこれ、小学5年生の国語のテストにあった。5年生にはちょっと難しいかもね。
ここに書いてあることが100%理解できたならそうとうなませがきだよなあ。



TopPage